日本人の潜在意識には「素材そのものの味を大切にしたい」という想いがあります。ゆえに焼肉でも、柔らかく甘みの乗った霜降りの和牛を好み、刺身のような薄切りのお肉を、炭火で軽くあぶる程度に調理をして、天然塩や生醤油でいただくことが高級とされています。
いっぽう、欧米人は分厚いステーキのようなお肉を食べる食の文化を育んできました。ゆえに、じっくり時間をかけてお肉を調理する多くの手法を心得ています。
ただ焼くだけでなく、スモークやローストといった様々な焼き方を使い分け、何種類ものソースやスパイスとともに、大勢でお肉料理をいただくのです。家畜を養ってきた農耕民族と、野生を追いかけて命を繋いだ狩猟民族のルーツが、今も両者の血に脈々と受け継がれているわけですね。
調理が主体の焼肉、料理がメインなのがBBQ
日本の焼肉は、その象徴的な食文化スタイルとも呼べる鍋料理の影響からか、調理と食事が同時進行している・・・つまり「焼きながら食べる」というのが一般的です。しかし欧米・特にアメリカのバーベキュースタイルは、肉や野菜を全て焼いてしまい、お皿に綺麗に盛り付けてから、みんなで一斉に食べるというのが基本です。
つまり一言でいうと、焼きながら食べる焼肉、焼き終えてから食べるバーベキュー、と分類できます。
特にアメリカでは、バーベキューは調理の段階でも様々な工夫が凝らされ、そこからゲストを楽しませようと考えます。せっかく大勢の人が集まってお肉を食べる訳ですから、全てを楽しもうというアメリカのバーベキュースタイルは、食べる事への比重が高い日本の焼き肉に比べると、レジャーとして、あるいはエンターテイメントとしての懐がずいぶん広いといえるでしょう。ゆえに日本にはバーベキューマスターのような存在が必要なのです。
後述する炭火の熾し方も含め、アウトドアで本当に美味しく、そして楽しくお肉を食べる為には、本場のバーベキューの知識がとても役に立ちます。日本バーベキュー協会では、アメリカで人気のある様々な肉の調理方法も紹介していきますので、ぜひ参考にしていただき、より多彩で美味しいバーベキューを楽しんでください。